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特集 地域リハビリテーションの新たなる展開
地域リハビリテーション総論
General Concept of Community-Based Rehabilitation.
澤村 誠志
1
Seishi Sawamura
1
1兵庫県立総合リハビリテーションセンター
1Hyogo Rehabilitation Center
キーワード:
地域リハビリテーション
,
Community-Based Rehabilitation(CBR)
Keyword:
地域リハビリテーション
,
Community-Based Rehabilitation(CBR)
pp.291-294
発行日 1992年4月10日
Published Date 1992/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107045
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地域社会におけるリハビリテーション・システムの構築
1990年代に入り,長寿社会へ向けての新しい医療制度として,もう一度国民医療の原点に返り,我々の生活している地域に密着したプライマリ・ヘルスケア,ターミナルケアを通じて,安心した老後を託せる地域づくりに向けた新しいシステムの形成が必要となっている.それと同時に,救命救急システムなどに関しても公的責任がもっと問われるべきであり,それにもメスが入れられるべきであろう.その意味で,現在は我々の生命の尊厳の重要性について再認識をする時期であるともいえよう.
長年にわたる自由診療制度や出来高払い制度の中で,地域の保健・医療システム,インフォームドコンセントが失われてきたが,それを今,改めて強調しなければならない.そして患者と医師との信頼関係を回復しなければならない時代となってきている.平成4年1月に「脳死臨調」の最終答申が,正反対の結論が混在した形で,脳死者からの臓器移植を実質的に容認する形で出された.この間の経過の中で,医療を受ける側の国民に,必ずしも医療に対して多くの期待があったとはいえない.むしろ我々医療関係者にとっては,医療に対する不信感が底流にあったような思いがする.臓器医療の進歩の重要性は当然であるが,それとともに,もう一度,リハビリテーションの心に通ずる全人間的な医療の立場に立って,患者や家族の側に立った心暖まる温かい医療や社会サービスの提供を考えるべき時代ではなかろうか.
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