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はじめに
これまでに報告されてきた地域リハビリテーション活動は,主として行政の役割を重視し行政施策の一貫として行われてきたものが多い.しかし大都市においては,民間病院と行政との連携が困難な場合も少なくない.また行政の姿勢によって大きく影響されるようである1,2).
たとえば伊藤らによれば,横浜市における総合リハビリテーションセンターを中心とした地域在宅リハビリテーションサービス・システムが報告され,大都市における自治体を中心にしたシステムの在り方が示されている3).
われわれは大都市における地域医療を担う民間病院の立場で,地域リハビリテーション活動についての実践を行ってきた.約10年間行ってきた在宅医療の一貫としての地域リハビリテーション活動の現状を報告し,大都市における民間病院を主体とする地域リハビリテーション活動の在り方について考えてみたい.
われわれの診療圏は京都市下京区を中心にし1985年の国勢調査によれば,65歳以上の人口が18%以上を占める高齢化地域である.
われわれの病院には従来から理学療法室と医療社会事業部があり,地域のニードにこたえる努力をしてきた.そして1981年10月に在宅療養部を設置し,それまでの不定期の往診活動から,定期的な往診と訪問看護の体制を作り出した.このことによって,特に脳卒中などのために通院困難となった患者に対して,訪問看護による継続したADL訓練を中心にしたリハビリテーションが可能になった.
そして,1983年春より,リハビリテーション医,理学療法室,在宅療養部,栄養科,医療社会事業部によって,脳卒中教室世話人会を作り,同年9月より第1期の教室を開始した.また1989年4月には老健施設の開所に至っている.
われわれの約10年間の経験を報告し,大都市における民間病院を中心にした地域リハビリテーション活動のシステムの在り方について検討する.
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