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English
特集 Withコロナ時代の精神医学教育の進歩—卒前教育から生涯教育まで
がん診療における精神医学的知識の普及啓発
Dissemination of Knowledge and Awareness of Psychiatry in Cancer Treatment
明智 龍男
1
Tatsuo Akechi
1
1名古屋市立大学大学院医学研究科精神・認知・行動医学
1Department of Psychiatry and Cognitive-Behavioral Medicine, Nagoya City University Graduate School of Medical Sciences, Nagoya, Japan
キーワード:
サイコオンコロジー
,
psycho-oncology
,
コンサルテーション・リエゾン精神医学
,
consultation-liaison psychiatry
,
緩和ケア
,
palliative medicine
,
うつ病
,
depressive disorder
,
適応障害
,
adjustment disorders
,
せん妄
,
delirium
Keyword:
サイコオンコロジー
,
psycho-oncology
,
コンサルテーション・リエゾン精神医学
,
consultation-liaison psychiatry
,
緩和ケア
,
palliative medicine
,
うつ病
,
depressive disorder
,
適応障害
,
adjustment disorders
,
せん妄
,
delirium
pp.1025-1031
発行日 2022年7月15日
Published Date 2022/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1405206700
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抄録 がん治療の進歩に伴い「がん=死」というイメージは払拭されつつある一方で,約半数の患者にとっては依然としてわが国で最も頻度の高い致死的疾患であることに変わりはなく,がん患者の多くに多彩な精神症状に対するケアのニードが存在する。このような時代背景を受けてサイコオンコロジー(精神腫瘍学)という学問領域が産声をあげた。精神医学的診断の観点からは,がん患者の経験する精神疾患としては,適応障害とうつ病,せん妄の頻度が高いことが示されている。またがん患者からの精神症状緩和のニードはきわめて高く,国策としてがん医療の充実が推進されており,がん医療の現場では,これら患者の苦痛を和らげるために,「精神腫瘍医」に高い期待が寄せられている。加えて,「精神腫瘍医」といった専門医の養成のみならず,多くの医療者ががんという疾患に関連するため,より早期の学生教育,初期研修医教育の現場においても,サイコオンコロジーに関しての知識の普及啓発が求められている。
本稿では,一般精神科診療とは異なり,さまざまな配慮が必要となり,チーム診療が基本となるがん患者の精神症状緩和推進のために求められているがん診療における精神医学的知識の普及啓発に関して,筆者の私見を交えて現状を概説した。
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