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はじめに
われわれは近年,機能的電気刺激(functional electrical stimulation;FES)を用いて対麻痺患者の動作再建を試みている1,2).対麻痺患者は車椅子生活を余儀なくされており,半田3)は起立動作の制御だけでも患者の生活空間が広がるだけでなく,車椅子からのベッドや自動車への移動がきわめて容易になると述べている.FESでは麻痺した神経や筋にある一定の電気刺激パターンを与えて動作を再建するが,半田3)はこのパターンを健常人の動作筋電図解析から作成する方法を考案し,円滑な動作再建に成功している.
半田ら4)は既に健常人の腕組み起立時の動作筋電図から筋の収縮パターンを分析し,これを基に対麻痺患者の起立動作再建を行っているが,対象とした健常人は2名と少ない.また,実際に対麻痺患者が起立するときには平行棒や杖などを必要とするので,上肢の補助を用いた場合の筋電図解析を行えば,より合理的な動作が再建可能と思われる.
着席動作については動作解析はあまり行われていないが5-7),対麻痺患者は着席時にバランスを崩したり転倒したりする危険性が高いので,FESによる着席の制御も重要であり,そのためには詳細な筋電図解析が必要と考えられる.
ところで,動作筋電図解析に用いられる電極にはワイヤ電極や表面電極があり,ワイヤ電極は個々の筋の活動が選択的に導出できるが,侵襲があり痛みも伴うので多数のデータを集めるのは困難である.比較的よく用いられる表面電極は,表在筋にしか使えず,近在筋からのcross-talkが混入するという欠点がある.
今回われわれは,ワイヤ電極による筋電図と表面電極による筋電図を比較して表面電極による妥当性について検討し,次に対麻痺患者の起立・着席動作の電気刺激パターンを作成するために筋電図を中心とする動作解析を行った.
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