Japanese
English
症例報告
アラーム付タイマーを用いたメモリーノート導入訓練―記憶障害に対するリハビリテーションのための一工夫
Acquisition of Regular Use of Compensatory Device for Memory Disturbance.
布谷 芳久
1
,
岡島 康友
1
,
椿原 彰夫
1
,
本田 哲三
2
,
千野 直一
1
,
鹿島 晴雄
3
Yoshihisa Nunotani
1
,
Yasutomo Okajima
1
,
Akio Tsubahara
1
,
Tetsuzo Honda
2
,
Naoichi Chino
1
,
Haruo Kashima
3
1慶應義塾大学医学部リハビリテーション科
2東海大学医学部リハビリテーション科
3慶應義塾大学医学部精神神経科
1Department of Rehabilitation Medicine, School of Medicine, Keio University
2Department of Rehabilitation Medicine, School of Medicine, Tokai University
3Department of Neuropsychiatry, Keio University, School of Medicine
キーワード:
記憶障害
,
リハビリテーション
,
メモリーノート
Keyword:
記憶障害
,
リハビリテーション
,
メモリーノート
pp.597-601
発行日 1993年7月10日
Published Date 1993/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107403
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はじめに
記憶の障害はしばしば重大な社会的不利の原因となるが,これに対するリハビリテーションアプローチは確立されていない.しかし患者によっては,日常のさまざまな新しい情報を記憶に留めることができずに困っている一方で,受傷後の経過などについては比較的容易に説明が可能な場合がある.これは,必要に迫られて説明を繰り返しているうちに,一つのストーリーを新たに「記憶」できたことに他ならず,記憶障害の程度により,入力を繰り返すことで新しい情報でも長期記憶システムの中に獲得できる可能性を示唆している.記憶障害を補助する方策として,多くの臨床家によってメモ帳の利用が勧められているものの,「メモ帳を持っていること自体を忘れてしまう」ため患者自身が利用を止めてしまうケースもしばしば見受けられ,問題視されている1).われわれは,脳損傷による記憶障害を有する患者に対し,長期記憶内に獲得すべき情報を繰り返し提示するための道具として手帳(以下,メモリーノートと称する)を使用し,また繰り返し「メモリーノートを見る」習慣を獲得させるためにアラーム付タイマーを用いた訓練を行うことで,記憶障害に対するリハビリテーションにつき知見を得たので報告する.
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