Japanese
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症例報告 悪性腫瘍とリハビリテーション
上肢の患肢温存術後に対する装具療法の試み―上腕骨骨肉腫の症例
A Brace Therapy following Limb Salvage Operation of the Upper Extremity: A Case Report: Osteosarcoma of Humerus.
堀家 京子
1
,
中島 光生
1
,
佐々木 淳子
2
,
小川 卓二
2
,
渡部 真理子
2
Kyoko Horiie
1
,
Mitsuo Nakajima
1
,
Junko Sasaki
2
,
Takuji Ogawa
2
,
Mariko Watanabe
2
1帝京大学医学部附属溝口病院リハビリテーション部
2帝京大学医学部附属病院リハビリテーション部
1Department of Rehabilitation Medicine, Mizonokuchi Hospital, Teikyo University School of Medicine
2Department of Rehabilitation Medicine, Teikyo University Hospital, Teikyo University School of Medicine
キーワード:
患肢温存術
,
骨肉腫
,
装具療法
Keyword:
患肢温存術
,
骨肉腫
,
装具療法
pp.205-209
発行日 1993年3月10日
Published Date 1993/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107311
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はじめに
近年まで骨肉腫に罹患した上下肢は切断を余儀なくされていたが,骨肉腫に対する化学療法・外科的治療・放射線療法などの治療技術の進歩により,患肢をできる限り温存していく方向に変化しつつある1-4).
1980年代より,外科的治療としてより良い機能の獲得を目的に患肢を温存する広範囲切除術が行われはじめた5,6).当院においても上腕骨骨肉腫に対し広範囲切除術を施行する症例が増加しつつある.しかし,患肢温存術では手指の機能および前腕の機能が温存されるかわりに,肩関節の機能全てと肘関節の機能の大部分が失われてしまう.つまり日常生活場面において,走れない,寝返りをうつと背部に手が置き去りにされる.ボタンが止めにくい,健側の手が洗えない,財布からお金が出しづらい,電話がかけづらいなど,床上動作や粗大動作の制限・両上肢での協調動作や患側上肢単独での動作の障害を生じてしまうのである.
われわれは,患肢温存術によって残存される手指・前腕の機能を最大限に引き出し,上肢を使用した日常生活動作の改善を目的として装具の作成を試みた.上腕骨骨肉腫の患肢温存術後の症例に対する装具療法のひとつとして,若干の知見を得たので報告する.
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