婦人ジャーナル
共働きと家事
山主 敏子
pp.53
発行日 1971年11月1日
Published Date 1971/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1611204252
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共働きの結婚生活をはじめるとき,たいていの人たちは,家事はその日その日暇のあるほうがやることにしようといった話し合いでスタートする。ところがいざやってみると夫族というものは,ものぐさなのか,ずるいのか,いくら部屋がちらかっていようと,ワイシャツがよごれようと,妻君が世話をやかないかぎり,家事に関しては無能力者という場合が多い。なかには夜の11時まで,妻君が帰ってきてごはんを炊くのを,腹ペコで待っているといった辛抱強い男性もいる。そこでやむなく妻がやることになる。結局外で働いたうえに,家事万端も妻の仕事になって,それが当然みたいにされているのが,過去の共働きの妻の実情であった。
しかし,いまの男性は,けっこう家事も手伝うという話を聞く。一般にそうなったのだろうか。それともきわめて一部の例外だろうか。わたくしの常日頃の疑問に,解答らしいものを示していたのが,婦人公論10月号にある"共働きのルール・ブック"という若い夫婦の体験談だった。それによると,どうも"よく家事を手伝ってくれます"と妻君が感謝しているものは少ない。結婚して1年のOさんなどはふとんのあげおろし,掃除,風呂掃除,ゴミ捨て料理(スパゲッティーとラーメンだけ),団地の集会への出席と,まあかなりよくやっている。妻君の作戦としては,先に手を出したらダメ,先手必敗だという。だが夫がはたして喜んでやっているかといえば"彼女,会社をやめて家庭へ入るっていってたのどうなっちゃったんだろう"とボヤいているのだ。
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