Sweet Spot 映画に見るリハビリテーション
嗜眠性脳炎後パーキンソニズム治療の光と影を描いた―レナードの朝
二木 立
1
1日本福祉大学社会福祉学部
pp.169
発行日 1992年2月10日
Published Date 1992/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552107013
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30年間も「半昏睡」の患者が特効薬で意識を回復した!と聞けば,医師・医療関係者は首をかしげるだろう.私自身,予告編で前半のサワリを見たときは「際物」映画を連想したが,これは誤り.アメリカでの実話に基づいて,嗜眠性脳炎後パーキンソニズムにより「半昏睡」にあった患者が,L-Dopa治療を受けて劇的に回復したものの,副作用や薬効の限界が現れ,ついには再び長い「眠り」に戻る過程を感動的に描いた「正統的」映画である.原作「Awakenings(目覚め)」の著者である高名な神経内科医オリバー・サックス氏が「技術顧問」をつとめているだけに,描写は実に正確.しかも,全編を通じて,アカデミー俳優,ロバート・デ・ニーロの迫真の演技が観るものを圧倒する.
舞台は1969年,ニューヨーク市ブロンクスにある神経科(神経内科)病院.アメリカの病院というとすぐに急性病院を連想する.しかし,数は少ないが,慢性病院も存在する.しかも,この病院では,すでに20年前から,話すことも動くこともできない重症患者を,「寝かせきり」ではなく,車椅子への「座りきり」にしているから,驚きである.
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