連載 DNAは、いつ統合失調症の秘密を語るのか・5
レナードの朝
糸川 昌成
1
1東京都医学総合研究所統合失調症・うつ病プロジェクト
pp.76-81
発行日 2013年11月15日
Published Date 2013/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1689101243
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
治験の始まり
私たちの行った医師主導治験は、カルボニルストレスを伴った10例の統合失調症患者に、6か月間ピリドキサミンを投与するデザインだった。1日投与量は1200mg、1800mg、2400mgの3通りを準備し、1200mgで開始して探索的に投与量を調節した。精神症状の変化を評価するに当たり、ピリドキサミン以外の影響を除外するために、抗精神病薬は6か月間変更しないこととした。
6か月の治験期間中に9回のビジット(治験薬の効果判定と被験者の安全性モニターのために諸検査を行うこと)がある。ビジットでは、早朝空腹時に採血をしてAGEsと3種類のビタミンB6濃度、および肝機能や血液凝固など36種類の一般項目が測定される。体重、血圧、脈拍、体温など全身状態も判定し、心電図検査、尿検査も行われる。そして、朝食後服薬前に1時間ほどかけて精神症状を3種類の構造化面接で評価し、神経学的評価も診察される。これらの症状評価は、松沢病院の4人の医師に治験分担医師になっていただき、行われた。
Copyright © 2013, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.