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〔1〕嗜眠性脳炎
Encephalitis lethagica
コンスタンチン・フォン・エコノモ
,
萬年 甫
1
,
萬年 徹
2
,
豊倉 康夫
2
1東京医科歯科大学大三解剖
2東京大学医学部神経内科
pp.426-431
発行日 1967年8月25日
Published Date 1967/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1431904418
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降誕祭以来,おれおれは精神科外来においそ,一連の症例を観察したが,これらはわれわれが慣用する診断には該当せず,その発症様式と症候とに一定の相似性を示すために,これらの症例を一つの症患像として把握すべきことを迫られた。
あえて言いうるならば,大部分が長い経過を有する一種の嗜眠性疾患が問題となる。すなわち,その初発症状は通常頭痛および不快感をもつて急激に出現しついで劇しい譫妄を伴つた昏蒙状態におちいる。この状態から患者を喚び起こすのは容易であり,十分ととのつた内容の指示を与え,状況を把握させ,命令に正確に従わさせて歩かせたり,立つたりさせることは可能であるが,患者はふたたびうとうとした状態にもどつてしまう。このような譫妄状の昏豪は進行性で急激に,あるいは数週の経過をもつて死にいたるか,あるいは,意識障害の程度は,五だ単なる眠気の段階から,深い嗜眠または昏睡にいやる幅を示し,かつ,時間ごと,日ごと,またはそれより長目の周期をもつて変化しながら継続することがある。また,この昏蒙は数週間,数ヵ月間にわたり変化を示さないこともあるが,漸次軽快に向かう場合もあり,そのさい患者は長期間精神的に消耗した状態におちいる。
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