Japanese
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特集 脊髄損傷とその周辺
脊髄損傷者の職場環境づくり
Vocational Environmental Design of the Paraplegic
八藤後 猛
1
Takeshi Yatogo
1
1国立職業リハビリテーションセンター研究部
1Technical Research Department, National Vocational Rehabilitation Center for the Disabled
キーワード:
脊髄損傷
,
車いす使用者
,
職場環境
,
環境整備
Keyword:
脊髄損傷
,
車いす使用者
,
職場環境
,
環境整備
pp.709-713
発行日 1991年7月10日
Published Date 1991/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106862
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脊髄損傷者の就労の背景と問題点
脊髄損傷者は,20数年ほど前までは療養型の生活を強いられ,日常生活の自立もままならなかった.しかし,当時欧米などで自分たちと同じ障害を持つ者が日常生活の自立ばかりでなく,企業に雇用され就労しているという事実を目の当たりにし,障害者やその周囲の人々は目を見張ったという.わが国でも感染などによる健康管理の意識の高まりと,その後全国で展開された『まちづくり運動』などの成果が徐々に現れ,車いす使用の脊髄損傷者の就労は決して特殊なケースではなくなった.国際障害者年の1981年には,初の国際障害者技能オリンピック(国際アビリンピック)がわが国で開かれ,障害者雇用の可能性を多くの人に知らせることになった.
その後,わが国の就労の場ではOA化・FA化といった職務内容の大幅な変化が,脊髄損傷などの車いす使用者に限れば就労に有利な環境をもたらし,雇用機会が高まった.それにもかかわらず,雇用経験のない事業所では,車いすを使用しているということが心理的に大きな障壁として感じることが多く,全国的には雇用が著しく増大したとは言いがたい面もある.具体的な理由として,図1,2に示すように,就職者,雇用者両者とも環境改善に関する情報不足による不安が大きい.本稿では脊髄損傷者の就労を実現化するための物的環境面における事項について,支援制度を含めてその概要を述べる.
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