Japanese
English
増大特集 老年者とリハビリテーション
Ⅱ.老化の障害学
1.Impairment
排尿障害
Bladder Dysfunction in the Elderly.
石田 暉
1
Akira Ishida
1
1東海大学医学部リハビリテーション学
1Department of Rehabilitation Medicine, Tokai University School of Medicine
キーワード:
排尿障害
,
老人
Keyword:
排尿障害
,
老人
pp.315-319
発行日 1991年4月10日
Published Date 1991/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106774
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はじめに
年齢が高くなるにつれて排尿障害,特に尿失禁の頻度は増加する.排尿障害の存在は身体活動のみならず精神的活動も制限する.さらには身体活動の制限や精神活動の低下が排尿障害を悪化させ,いわゆる悪循環を呈してくる.排泄の問題は,入院患者の場合は顕在化しやすいが,「恥ずかしい」,「呆けや痴呆と間違えられる」などの理由から比較的高齢者に多く見られる症状の割には本人から外来で訴えられることは少ない.
リハビリテーション医学の立場で排尿障害を見ると様々な原因が関係する.すなわち,中枢,末梢神経障害によるもの,泌尿器科的疾患によるもの,不安,うつなどの心理的要因によるもの,トイレから遠いなどの環境因子によるもの,その他加齢に伴う膀胱容量の低下,女性に見られる骨盤底筋群の弛緩などが挙げられる.また,表1に見られるように,治療に用いられる様々な薬剤が排尿障害を引き起こし,いわゆる医原性失禁(iatrogenic incontinence)を起こす.この中で,中枢神経疾患によるもの.とりわけ脳血管障害によるものは,我々が日常診療で遭遇する老人の排尿障害で最も関心が深いものである.
本稿では脳血管障害後の排尿障害を中心に,その病態,評価,治療等を述べる.
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