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多くの学会,研究会が年間を通して開催され,玉石混交の報告とそれを収録した情報誌が氾濫する中で,膨大となった整形外科領域の重要な知識を“透かし織り”したような通覧の書「今日の整形外科治療指針・第2版」が発刊された.概して,複数の編者の手になる分担執筆の書というのは体裁を整えている割りにはあまり有用でなく,一読した後はただ書架のスペースを埋めているだけということが多いものだが,本書を通読してみると「治療に主眼を置いて,実地臨床にただちに役立つものを編纂して,読者に届けたい」という編者(山内裕雄教授,真角昭吾教授,辻陽雄教授,桜井実教授)諸氏の並々ならぬ熱情と,長時間を費やした共同作業の跡がひしひしと伝わってくるようである.
1987年の本書初版には評者も参加させていただき,駄文を呈したこともあって,診察中にふと疑問が生じた時には,すぐに本書の頁を開いて実用的な知識を吸収したものである.思えば,多忙を極める臨床医の一人として,本書は“気軽に相談できる友達”として随分と愛用させていただいた.今回の第2版では新たに第1章「基本的治療手技」,第2章「検査・治療の機器・材料の進歩」,第9章「未梢循環障害,壊死性疾患」,第10章「スポーツ障害・外傷」,第11章「整形外科医とリハビリテーション」など,現在実際に必要とされている医療に即応した5つの章が追加され,項目数も152も増やされて540項目になった.整形外科臨床医に必要なことは,これでほとんど網羅されたといっていいだろう.したがって頁数も500頁から730頁に増え,本自体もその成長を物語るかのようにだいぶ厚くなっている.単なる第2版という以上の,まさに大改訂である.
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