Japanese
English
症例報告
筋萎縮性側索硬化症(ALS)が看過されていた多発性脳梗塞の1例
Amyotrophic Lateral Sclerosis in a Case of Multiple Infarct.
前島 伸一郎
1
,
重野 幸次
2
,
小竹 伴照
1
,
梶原 敏夫
1
,
土肥 信之
1
Shinichiro Maeshima
1
,
Kouji Shigeno
2
,
Tomoteru Kotake
1
,
Toshio Kajiwara
1
,
Nobuyuki Dohi
1
1藤田保健衛生大学リハビリテーション医学教室
2伊豆韮山温泉病院神経内科
1Department of Rehabilitation Medicine, Fujita Health University
2Department of Neurology, Izu Nirayama Rehabilitation Hospital
キーワード:
筋萎縮性側索硬化症
,
脳梗塞
Keyword:
筋萎縮性側索硬化症
,
脳梗塞
pp.225-227
発行日 1991年3月10日
Published Date 1991/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106750
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はじめに
運動ニューロン疾患は脊髄,延髄,大脳の運動神経が系統的に進行性に変性脱落していく原因不明の疾患である.その中でも筋萎縮性側索硬化症(以下,ALSと略)は上位・下位の運動ニューロンがともに障害され,急激な進行で錐体路徴候,筋力低下,筋萎縮をきたし,数年で死に至る予後不良な疾患である1).また,確立された治療法がなく,症状が進行性に増悪するため,脳卒中後のリハビリテーション(以下,リハと略)のようにゴールを設定し,それに向かって筋力強化やADL訓練を行うというわけにはいかず,悪化する症状に応じてプログラムを変えていかなければならない2).我々は,脳梗塞後の右片麻痺と失語症のためリハ経過中,諸症状が徐々に増悪してきたため,精査したところALSの合併を見い出した1症例を経験した.一般に単独で見られる両者の診断はそれほど難しくはないが,本症例は多発性脳梗塞に合併したため,ALSの存在が看過されていた.そこで,若干の反省を加えながら,本症例の診断に至った過程と施行したリハについて報告したい.
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