特集 子供のリハビリテーション
Ⅴ.子供のリハビリテーション・メモ
神経芽細胞腫のマススクリーニング
西平 浩一
1
1神奈川県立こども医療センター小児科・腫瘍科
pp.710
発行日 1987年9月10日
Published Date 1987/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106595
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1.神経芽細胞腫の臨床的特徴
神経芽細胞腫は小児がん全体の約10%を占め,副腎または交感神経節より発生する腫瘍である.好発部位は腹部(60%),胸腔(20%)である.臨床症状は発生部位の腫瘍自体によるものが主であり,腹部膨満,呼吸困難などである.その他,遠隔転移による症状として,骨転移による四肢痛,骨髄転移による貧血,眼窩転移による眼球突出などである.
本症の予後に関与する因子のうち,もっとも重要なものは①病期(Stage)の進展度,②診断時の年齢である.すなわち,腫瘍が発生部位に限局している病期ⅠまたはⅡの症例で,年齢が1歳未満の場合は,ほぼ100%の治癒が期待される.しかし,周囲のリンパ節転移や遠隔転移を有する病期ⅢおよびⅣで,1歳以上の症例の予後は不良で2年生存率は30%である.特に病期Ⅳ,2歳以上の症例の生存率は数%にすぎない.したがって,年齢1歳未満で腫瘍の進展していない時期(病期ⅠまたはⅡ)に発見すれば治癒する可能性が高いことになる.
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