巻頭言
高齢者保健福祉推進10か年戦略
隅田 俊子
1
1佐久総合病院リハビリテーション科
pp.839
発行日 1990年11月10日
Published Date 1990/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106370
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―4月30日,朝からよく眠っている.午後兄が来て,言葉をかけたら泣きだした.尿は昨日よりきれいになりました.7月15日,先生がみえて,床ずれを切り取ってくれました.見るとあまりのすごさで驚きました.オシッコ1600でました.先生が塩分をもう少し入れましょうと言われた.味噌漬が好きな人でしたので,塩を使うかわりに味噌漬をミキサーにかけて入れました.7月22日,学生さんが主人の誕生日に鶴を折ってきてくれました.私も何かを,と思っても,口から入る物もないし,誕生日のお祝いに新しい敷布でもやってやろうと用意しました.8月10日,今日は朝から少し苦しそうでした.早く洗濯物を干してみてやりました.……12時15分,苦しそうに息をして,そのまま息をひきとりました.―Sさんの連絡ノートより
Sさん,67歳男性は,胃癌術後,2度の脳梗塞により両側片マヒ,失語症で寝たきり,経管栄養,バルーン留置であった.家に帰りたいというSさんは,家で看ますという奥さんに介護され,退院後4か月家で生活した後,奥さんの腕に抱かれて永眠された.この4か月間にSさん夫婦(子供なし)に関わった人たちは,ご夫婦の兄弟姉妹,近所の人たち,看護学生,当院よりの医師,看護婦,保健婦,MSW,入浴サービスのスタッフ,市の保健婦.ヘルパーであった.連絡ノートは,これら関わった人たちの情報交換のためのものである.
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