Japanese
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特集 リハビリテーション医療と倫理
インフォームド・コンセントにおける本当の決定主体は誰か
Informed Consent: Who really makes the decisions?
加藤 尚武
1
Hisatake Katoh
1
1千葉大学文学部倫理学
1Department of Philosophy, Chiba University Faculty of Letters
キーワード:
決定要素の分散
,
市場モデル
,
パターナリズム
Keyword:
決定要素の分散
,
市場モデル
,
パターナリズム
pp.179-182
発行日 1990年3月10日
Published Date 1990/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106230
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インフォームド・コンセントとパターナリズム
治療において医師の側が決定の主体となる体制をパターナリズム(paternalism)と呼ぶ.すなわち,医師はまるで父親が子どもに対するように,一面では高圧的に,他面,子どもの利益のためにするという点では温情的にふるまう.パターナリズムとは,相手の利益のために相手の意志を無視する態度である.
パターナリズムの体制では,医師側は個々の医療処置について患者に説明し,同意を求めることはしない.治療目的について医師側と患者の間に完全な合意が存在し,医師側は治療手段の選択に関して包括的に一任されている.治癒という目的を達成するためには,そのつど最善の選択を医師がするものと想定されている.
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