巻頭言
老化
奥野 徹子
1
1久留米大学病院整形外科
pp.161
発行日 1990年3月10日
Published Date 1990/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106225
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初冬の晴れた日,故郷の町に入院中の祖父を見舞いに訪れた.病室の窓から湖を見渡すことができて,向こう岸には私が2年生までいた中学校が見えた.初めて対岸より昔と変わらぬ美しい湖を眺めていると,改めて時の流れを感じさせられた.祖父は102歳で心不全を起こしている.
国民衛生の動向をみると,我が国の平均寿命は1988年で男75.5歳,女81.3歳となっている.人口は1億2,278万人,このうち65歳以上の人口は1,379万人で,全人口の11.2%を占める.調べ得た古い記録では1899年(明治32年)の人口は4,340万人で,100年間に人口は3倍に増加している.出生率は1899年の32.0(人口1,000対)に対して10.8と3分の1に減少しているが,死亡率も3分の1以下になっている.なかでも新生児,乳児の死亡率は30分の1に激減している.
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