特集 インフォームド・コンセント
インフォームド・コンセントの現在と未来
加藤 尚武
1
Kato Naotake
1
1京都大学大学院文学研究科
pp.815-818
発行日 1998年11月15日
Published Date 1998/11/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551105173
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1.最近の判例にみるインフォームド・コンセント
エホバの証人の治療をめぐって,東京地裁で判決(平成9年3月12日)があった.「輸血をしないで欲しい」と文書まで出した女性信者(8月に68歳で訴因とは別の理由で死亡)に輸血を行ったという事件である.精神的苦痛を受けたとして遺族が東大医科学研究所附属病院の医師と国に計1,200万円の損害賠償を求めた.
肝臓の右葉付近の腫瘍の摘出手術で東大医科研の医師に「手術中いかなる事態になっても輸血をしない」と確言し,免責証書を交付したにもかかわらず,1,200ミリリットルの輸血をした.医師側では,免責証書は患者の一方的な通告にすぎず,「いかなる事態でも輸血しない」と約束したわけではないという.
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