学会報告
第56回関東リハビリテーション医学懇話会―1988年11月19日,於:順天堂大学講堂
岩倉 博光
1
1帝京大学医学部リハビリテーション科
pp.69-71
発行日 1990年1月10日
Published Date 1990/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106204
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1.ヘルペス脳炎後,記憶障害を呈した症例に対するリハビリテーションの経験
七沢リハビリテーション病院 足立徹也
神奈川県総合リハビリテーションセンター 安藤徳彦 桂律也
記憶障害についてはこれまで数多くの研究がなされているが,リハビリテーション医学の立場からの報告はまだ少ない.今回,我々はヘルペス脳炎後に重病の健忘症状を呈した症例に対しリハビリテーション治療を試みたので報告する.
症例は30歳男性.発熱・意識障害で発症し,ヘルペス脳炎と診断され,約3か月の意識障害の後,著明な逆行性・前向性の健忘症状を呈するに至った.また軽度の失語症のため正確な指示理解を得るには質問者側が注意を要する状態であった.レビンのカラードマトリーセステストは100%正解で,知的能力はある程度保たれていると考えられた.このような症例に対し,前向性の記憶能力強化訓練を行った(資料記憶,生活記憶).また同時にメモの利用,困った時の問題解決行動の強化など,能力障害レベルの訓練も行った.
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