学会報告
第31回関東地方リハビリテーション医学懇話会―昭和56年6月6日,於:順天堂大学病院6階講堂
岩倉 博光
1
1帝京大学リハビリテーション科
pp.832-834
発行日 1981年10月10日
Published Date 1981/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104630
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1.ラグビーと脊髄損傷
帝京大学リハビリテーション科
林一徳 吉田清和 岩倉博光
帝京大学整形外科 阿部光俊
中央鉄道病院リハビリテーション科 佐藤和男
昭和51年より55年まで日本ラグビー協会で登録された脊髄損傷例28例および実際に私達が経験した8例の頸髄損傷患者について,その受傷機転や現状などについて調査した.
28例のうち,受傷部位は全例頸椎であり,経験した8例においても第4頸髄から第6頸髄節にわたる屈曲位損傷であった.頸椎の変位の程度は必ずしも予後と相関せず,むしろ,救急時の処置,特にグランドより運び出される方法が大きくその後の回復と関係している.私達の経験した症例のうち,前方固定術3例,後方固定術4例であったが,前者はいずれも術後著明な機能回復を見た.ラグビーによる頸損は両側椎間関節脱臼をきたす場合が多く,早期リハのためには脱臼整復後の頸椎不安定に対し,何らかの頸椎固定術が必要と思われる.なお,8例の現状を述べると,合併症による死亡1例,車椅子生活4例,うち3例はADL自立している.ほかの3例は完全回復し,再びラグビーを続けている.
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