学会報告
第57回関東リハビリテーション医学懇話会―1989年3月4日,於:順天堂大学新館講堂
米本 恭三
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1東京慈恵会医科大学リハビリテーション科
pp.311-314
発行日 1990年4月10日
Published Date 1990/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106255
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1.症候性NPHに関するリハビリテーション上の問題点
東京慈恵会医科大学リハビリテーション医学教室
鄭 健錫 福田 千晶 猪飼 哲夫
稲田 晴生 宮野 佐年 米本 恭三
我々は脳血管障害後の片麻痺患者のリハビリテーション過程で正常圧水頭症(以下NPH)が判明し,シャント術を受けた症例を検討した結果,術後の成績判定にはADLの改善を含む長期の評価が必要であることがわかった.
症例は43歳,男性,被殼出血による左片麻痺.発症6か月後に当院にてリハビリテーション開始し,ADLは食事以外は全介助であった.訓練による著しい効果はなく,5か月後にはむしろADLは低下した.脳実質の広範囲障害を伴うが,臨床症状と補助的検査により手術週応と考え,シャント術を施行した.術後3週より食事動作・車椅子操作の自立,尿失禁,5週より更衣・移乗,9週から杖歩行が自立した.
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