巻頭言
「デイケア」の経験から在宅ケアを考える
馬場 亮三
1
1千鳥橋病院リハビリテーション科
pp.3
発行日 1990年1月10日
Published Date 1990/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106191
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リハビリテーション科の通院患者を対象に,「デイケア」を始めて3年になる.週2回で,朝9時過ぎから午後の4時頃まで.集団体操,維持訓練,革細工や書道などの趣味活動,グループによる言語治療,調理教室等がその内容である.現在,1日平均で約30名,自由選択で通院患者の約半数が利用している.
以前は,外来での通院維持訓練は,患者さんをいつまでも病院に依存させる形になり,障害者の自立を目指すリハビリテーションの理念とは矛盾するのではないかと考えていた.退院後の通院訓練を希望する人には,家庭訓練法の指導で我慢してもらったり,公立の通所訓練施設を紹介したりしていた.しかし,私の病院は都市型の一般病院であり,再発予防,合併症管理のために外来治療を希望して通院する人は多い.月に1~2回,かなりの交通費を費やして病院にきて,診察は5~10分.経済的に困難な人は次第に病院から遠のき,気が付いたら再発を起こしていたり,他の病院に入院していたりということも少なくなかった.
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