Japanese
English
研究と報告
脳卒中片麻痺患者における運動負荷時の酸素負債の増加
Increase of Oxygen Debt after Constant-load Exercise in Post-stroke Hemiplegic Patients.
宇川 康二
1,2
,
上田 敏
1
,
山口 明
3
,
古賀 良平
4
,
芳賀 敏彦
4
Koji Ugawa
1,2
,
Satosi Ueda
1
,
Akira Yamaguti
3
,
Ryohei Koga
4
,
Tosihiko Haga
4
1東京大学医学部付属病院リハビリテーション部
2筑波大学臨床医学系理学療法部
3国立精神・神経センター武蔵病院理学診療科
4国立療養所東京病院
1Central Rehabilitation Service, University of Tokyo Hospital
3Department of Rehabilitation Medicine, National Center of Neurology and Psychiatry Musashi Hospital.
4Tokyo National Hospital.
キーワード:
脳卒中
,
運動負荷
,
酸素負債
,
廃用症候群
Keyword:
脳卒中
,
運動負荷
,
酸素負債
,
廃用症候群
pp.277-281
発行日 1989年4月10日
Published Date 1989/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106039
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はじめに
リハビリテーション医学において,廃用症候群は古くて新しい問題である.リハビリテーションプログラムの再検討の課題とも関連して,最近種々の角度からこの問題について実証的な研究が行われている.
脳卒中発症後の患者は意識障害や全身状態の不安定性のために,安静を余儀なくされる場合が多い.それに引き続く回復期においても活動性の低い状態が続くことが多く,その状態は患者が実用歩行能力を再獲得し,活動的な日常生活を再開するまで続く.
しかし,その間の廃用により全身体力の低下が起こり,それは活動的な日常生活を営むに到っても容易に回復せず,そのため,活動時に易疲労性がみられてくることが少なくない.この易疲労性それ自体が活動量を制限する因子となり,悪循環が生じ体力低下状態が長期にわたって続くこともしばしばみられるところである.
このような廃用性体力低下の要因を明らかにし,可能ならばその予防および治療をはかることは,リハビリテーション医学の重要な課題の一つであると考えられる.心機能については,間嶋ら1)の研究により1回心拍出量の低下および歩行量増加による改善が確認されているが,心機能と密接な関係にある呼吸機能の廃用性低下についても十分な検討を加える必要があると考えられる.
そのため我々は,歩行非自立患者を対象として,一定の強度の運動負荷中および負荷後における換気量,酸素摂取量の変化,特に酸素負債に注目して検討し,脳卒中片麻痺患者における酸素負債の増加を確認し,その他興味ある結果を得たので報告する.
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