特集 リハビリテーション医療の問題点
リハビリテーション医療に関わる福祉・医療制度上の問題点
長尾 竜郎
1
1富山県高志リハビリテーション病院
pp.614
発行日 1988年8月10日
Published Date 1988/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105890
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日頃リハビリテーション(以後リハ)医療に携わっている立場で感じられる問題点,またはリハ医療で起こりうる問題点を,階層的にまとめてみたのが表1である.多数に及ぶので,以下2,3の問題点につき敷衍して述べる.
まず,後天性の脳原性障害の福祉制度上の問題である.昭和59年の改正で先天性脳原性障害は身障福祉法に取り入れられたが,多くの脳原性の中途障害者が取り残された.改正福祉法はADL重視といわれながら,筋力低下や関節可動域制限等の裏づけを要求されるので,これらの障害のない高次神経機能障害者はADLが殆どできず,社会的不利が高度でも,障害等級が不当に低くなってしまう.従って,家庭で介護できなくても福祉施設にも入れない.老人福祉法改正により,特養の設備改造費が認められ,痴呆老人が以前より特養に入り易くなった.
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