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はじめに
昭和24年12月26日に制定された身体障害者福祉法(以下身障福祉法と略す)は,その第1条に「この法律は身体障害者の更生を援助しその更生のために必要な保護を行い,もって身体障害者の福祉を図ることを目的とする」とあり,この法の目的が身体障害者の更生に関与するものであることを示している.
わが国では,大宝元年に制定された「大宝律令」,明治7年の恤救規則,昭和2年の救護法などがいずれも障害者を生活貧困者の範疇に入れ保護・救済を目的とした法律であり,戦時中に発令された軍事扶助法(昭和12年),傷痍軍人保護対策審議会の設置(昭和13年)などが対象を軍人,軍属に限ったものであったのに対し,この法律は身体障害者すべてを対象とし,しかも公的基盤に立った更生援護が目的であることを明示した点,戦後の身体障害者福祉行政の方向づけをした意義深いものであると言えよう.
昭和25年4月この法が施行された当初は,身体障害者の定義として「身体上の障害のため職業能力が損傷されている18歳以上の者…」とされていたが,翌26年には「職業能力が損傷され」という部分は削除され,身体障害者の更生は就業を目的とするものではないことを明らかにしている.この考えは1973年にアメリカ合衆国で成立したリハビリテーション法とも相通じるものである.
身障福祉法の定める「身障者」に対する援護措置は,義肢,装具,補聴器など補装具の交付,更生医療の給付,更生援護施設への入所などを中心に実施されていたが,その後の福祉施策の進展に伴い現在では,厚生省関係で表1の様な措置の他,各省庁から税の減免,運賃割引,郵便料金減免など多岐にわたる優遇措置が取り計らわれるようになってきている.
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