巻頭言
リハビリテーション「総合」の視点から
川原 直治
1
1社会福祉法人福岡コロニー
pp.3
発行日 1988年1月10日
Published Date 1988/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105749
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エレヴェーターの普及で下肢障害者の移動が楽になり,ワープロがタイプライターより安価になって言語障害・上肢麻痺障害の人の表現手段が広がっているが,色刷りになった教科書は,色覚異常者にハンディキャップをもたらしている.
「色覚異常の子供にやっと“光り”」と題した新聞記事(10月8日毎日・家庭欄)の切り抜きがある.それによると,眼科医学会が,全国眼科学校医連絡協議会の訴えを取り上げて文部省に働きかけた結果,教科書会社は61年度使用のものから改善を始めたという.教科書研究センターに「色覚異常生徒のための教科書色刷り改善の手引き」を作らせ,さらに大学や高校の受験制限撤廃を呼びかけている.名古屋市の眼科医・高柳医博が,色覚異常の子を持つ親から,教科書の見にくいところがあると指摘されたのを取り上げたのは昭和56年,ちょうど国際障害者年に端を発する.一人の医師から広がる輪によって,完全参加」の復権に浴した例は,過去,結核や療育その他に数あって,敬服させられる.
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