Japanese
English
総説
膀胱直腸障害に関する最近の研究
Current Study about Vesicorectal Disfunction.
宮崎 一興
1
,
鈴木 康之
1
,
石堂 哲郎
1
Kazuoki Miyazalci
1
,
Yasuyuki Suzulci
1
,
Teturou Ishidou
1
1神奈川県総合リハビリテーションセンター病院
1Kanagawa Rehahilitation Center Hospital.
キーワード:
神経因性膀胱
,
尿失禁
,
便失禁
,
シリコーン注入
Keyword:
神経因性膀胱
,
尿失禁
,
便失禁
,
シリコーン注入
pp.39-43
発行日 1988年1月10日
Published Date 1988/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105755
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はじめに
神経因性膀胱(Neurogenic bladder)は,支配神経の障害により正常の膀胱機能をいとなみ得なくなった状態の総称である.原因は多岐にわたり,神経障害の原因・部位・程度によって病態は多様である27).
また,膀胱の支配神経である骨盤神経(Pelvic nerve),下腹神経(Hypogastric nerve),陰部神経(Pudendal nerve)は同時に遠位結腸(横行結腸右1/3より肛門側)の支配神経でもある13).このことは,神経因性膀胱が存在する場合ほとんど排便機能障害を合併しているということを示している.
神経因性膀胱の治療を行う場合,他の疾患と同様,まず第一に原因療法を行うべきであるが,多くの場合効果的な原因療法はなく実際には対症療法が行われる.対症療法には,蓄尿ならびに排出障害に対する治療とこれらに起因する種々の合併症に対する治療の2つがあげられる(表1)が,その目標とするところは腎機能の保全ならびに尿失禁の防止の2つであると言える,腎機能の保全については患者の生命予後に大きく影響するため多くの研究がなされている1~3).一方,尿失禁はその社会生活上多大な障害があるにもかかわらず効果的な研究が少ないのが現状である.
また排便障害の治療と管理(特に便失禁Fecal incontinence)の問題も患者の社会生活上非常に重要であるにもかかわらず生命予後にあまり関係しないためか積極的な治療および研究がなされていないのが現状である.
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