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特集 失行・失認
失行・失認研究の進歩とリハビリテーション
Advances of the Study and Rehabilitation of Apraxia and Agnosia.
秋元 波留夫
1
Haruo Akimoto
1
1東京都立松沢病院
1Tokyo Metropolitan Matsuzawa Hospital.
キーワード:
失行
,
失認
,
リハビリテーション
Keyword:
失行
,
失認
,
リハビリテーション
pp.823-831
発行日 1986年11月10日
Published Date 1986/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105692
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Ⅰ.研究史2,5)
人間をして人間たらしめている言語,自他の認識,事物を作り,操作する行為,すなわち高次神経機能の障害が科学的に研究されるようになったのは19世紀後半に入ってからである.失語につづいて,失認,失行と後によばれるようになった障害が臨床家によって観察,報告されるようになった.
今日,失認および失行とよばれている症状を最初に記載したのは,近代神経学の開拓者として知られているJohn Hughlings Jackson(1835-1911)5)である.彼は右半球の脳腫瘍の患者が,感覚障害がないのに,ありふれた物体や熟知していた場所を認知することができなくなった状態を観察して,これを認知不能imperceptionと名づけた12).視覚失認の最初の記載である.また,彼は随意筋の麻痺がないのに,顔をしかめたり,舌を動かすことが,口頭指示および模倣とも不可能な状態が失語の患者に観察されることを報告した.今日いうところの顔・舌失行にほかならない.
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