Japanese
English
実践講座 リハビリテーション診察法
5.高次脳機能系の診察
Mental Status Examination in Rehabilitation Medicine.
江藤 文夫
1,2
Fumio Eto
1,2
1獨協医科大学リハビリテーション科学教室
2東京大学医学部附属病院リハビリテーション部
1Department of Rehabilitation Medicine, Dokkyo University School of Medicine
キーワード:
意識障害
,
失語
,
失行
,
失認
Keyword:
意識障害
,
失語
,
失行
,
失認
pp.1073-1079
発行日 1998年11月10日
Published Date 1998/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552108803
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はじめに
認知あるいは認識機能障害は,臨床的に,意識の水準の障害と意識の内容の障害とに分類される.意識水準の障害は軽度の錯乱状態から深昏睡まで連続性を有する.一方,意識内容の障害には全般的な認知障害(すなわち痴呆)と,記憶,言語,行為などでの限定された欠陥の両者が含まれる.
意識の内容は大脳皮質などによる高次の精神活動であり,これらを高次脳機能として扱い,脳幹部により維持された意識水準により支えられていると考えられる.「意識がある」とは目が覚めている覚醒状態をいい,「意識している」とは何者かに注意を向けている主体的作用をいう.
前者は意識障害と対置される意識であり,後者は精神分析的な無意識と対置される意識である.両者は概念的に異なるが,睡眠中の「夢現象」を考察すると,意識障害を単に覚醒度の障害とだけみるわけにはいかない.
こうした状況を踏まえて,日常診療の場では実臨床に則しながら現在までの有力な知見に基づいて,さまざまな高次脳機能障害の診断基準を操作的に定義し,対応することになる.
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