Japanese
English
特集 神経筋疾患
神経変性疾患の障害について
Impairment, Disability and Handicap in Degenerative Diseases of Nervous System.
江藤 文夫
1
Fumio Eto
1
1東京大学リハビリテーション部
1Central Rehabilitation Service, University of Tokyo Hospital.
キーワード:
機能障害
,
能力障害
,
ハンディキャップ
,
パーキンソン病
,
変性疾患
Keyword:
機能障害
,
能力障害
,
ハンディキャップ
,
パーキンソン病
,
変性疾患
pp.571-576
発行日 1986年8月10日
Published Date 1986/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105641
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はじめに
細胞や組織がその生活機能の減衰あるいは停止を起こす場合に現れる変化を退行性変化と呼び,その異常に基づいて組織細胞内や間質に,性質的に異常物質が出現するか,正常代謝物質についても数量的にあるいは部位的に異常に出現する場合,これを変性という.変性病変の多くは組織の新陳代謝障害に基づくもので,遺伝子の関与が最も疑われるが,中毒や感染などの外因の関与するものも知られている.変性を呈する疾患は神経系に限らないが,神経細胞や筋細胞は非再生系細胞であることから,変性は臨床的に病的所見と結びつきやすく,神経疾患の中では退行性(変性)疾患としてまとめられる.すなわち,原因が不明で,神経系のある部位の神経細胞が,ある時期から次第に機能低下を起こし,形態的にも変化して消失し,臨床的には慢性または亜急性に進行する経過をたどる疾患を総称して,神経変性疾患と呼ぶ.分類としては,表1の如く主要症状別に分ける方法が臨床的に便利である1,2).
変性疾患の原因は不明であるが,これらに分類されてきたものの中から,先天性の酵素欠損が明らかになってきたものも稀でなく,将来は内因,外因がそれぞれ明らかにされ,予防と治療法の考案されることが期待される.しかし,現状では変性疾患の多くは難病とされ,薬物療法も不満足なものであることから,対症的療法の中では障害を取り扱うリハビリテーションの有用性が大である.その障害はImpairment機能形態障害,Disability能力障害,Handicap社会的不利に分けて論じることができる.
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