Japanese
English
講座 日常生活動作の再検討(2)
日常生活動作の構造
Reconsideration of Activities of Daily Living: Structure of activities of daily living (ADL).
安藤 徳彦
1
Norihiko Ando
1
1神奈川県総合リハビリテーションセンターリハビリテーション医学科
1Department of Rehabilitation Medicine, Kanagawa Rehabilitation Center
キーワード:
日常生活動作(ALD)
,
能力障害
,
機能障害
Keyword:
日常生活動作(ALD)
,
能力障害
,
機能障害
pp.143-149
発行日 1991年2月10日
Published Date 1991/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552106731
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日常生活動作(ADL)の構造論
1.日常生活動作(ADL)を評価する意義
日常生活動作(以下ADL)はリハビリテーション医学の領域では既に1940年の頃から治療対象として考えられ,評価方法も考案されていたという.これは疾病を直接の治療対象とする他の医学領域に対して,障害の克服を目的にするリハビリテーション医学独自の考え方であり,その特徴を示すものだといってよい.この考え方は現在も不変である.
ところで,能力障害であるADLは機能障害としての運動麻痺や関節拘縮の総合だと位置づけられている.したがって,機能障害から能力障害を演繹的に把握することは可能なことが多い.例えば,脊髄損傷は麻痺高位を正確に診断すれば,性別や年齢や合併症の状態を考慮して,ADLの自立度を早期に推測できる.切断も同様である.その他の疾患も,脳卒中のごとく障害像の複雑なものも存在するが,類推を将来ともに不可能と断定する根拠は高くない.しかしながら,ADLを治療対象と位置づける場合には,ADLそれ自体が正しく評価されることが必要不可欠である.そして,その評価結果に基づいて障害の阻害因子が理解され,治療方法が検討され,目標が設定される必要がある.それが不可能では,ADLを治療対象にすることはできない,この目的を満たすためには評価内容も,単に自立度を示すだけでなく,分析的な検討に耐える条件を備えたものでなければならない.ADL評価法が開発された当時から評価はPerformance Testとして位置づけられていたのは,おそらくそのような理由によるものであろう.
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