社会保障における高齢者対策の推移

The Progress of Measures for the Aged in Social Security.

　Ⅰ．社会保障制度審議会の提言をめぐって

　わが国の社会保障体系は，第2次大戦後新憲法の制度によって発展の礎石がつくられ，経験したことのないような高度の経済発展とともに，急速な整備充実の経過を辿ってきた．もちろんその間に予想しなかったようないくつかの現実に直面しながらも，内容的には先進国の中に位置するところまでに達していることは，ほぼ首肯されているといって差し支えないだろう．予想しなかった現実には，疾病構造の変化と高齢化社会の到来等の問題が上げられるが，このような現実を踏まえて，今後予想される出来るだけ多くの要素の入力を行った上での多くの提案が出て来たことも最近の特徴のように思われる．たとえばわが国の社会保障制度企画に関する大きな役割を果して来た総理大臣の諮問機関である社会保障制度審議会のこの10年の動きからも，このことを知ることが出来るのである．