一頁講座 義肢のパーツ・11
作業用義手
長島 弘明
1
1岡山大学理学療法部
pp.893-894
発行日 1985年11月10日
Published Date 1985/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105492
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作業用義手とは,19世紀にフランスの医師Gripouilleuにより発想され,第1次世界大戦(1914~1918年)の時にほぼ完成をみたものといえよう.そして,手の形態を考慮せず,断端の運動をソケットの先に固定した作業具で一定量の仕事に変換する義手と定義できる.この点,ケーブルとフックなどで指の動きを幾分とも再現しようとする能動義手とは本質的に異なる.
わが国では,日支事変中の1940年(昭和15年)に開発・普及した「十五年式陸軍制式上肢義肢」が,現在の作業用義手の原形である.この義手は,肘継手と手継手に,屈伸と回旋を任意の肢位でロックできるドラムがついている.屈伸は歯車,回旋は摩擦によるロックであり,この2つの動きが同時にロックあるいは解除できる.
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