巻頭言
リハビリテーション医の役割
吉村 理
1
1九州労災病院リハビリテーション診療科
pp.821
発行日 1985年11月10日
Published Date 1985/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105476
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リハビリテーション医学の目標は,心身に障害を有する個人の全人間的復権であり,その残存能力にふさわしい身体的・社会的・経済的人間の回復を目指すものである.リハビリテーション医はこのために多彩な障害者のニードに答えるべく,理学療法士,作業療法士,リハビリテーションケースワーカー,心理専門家,ナース,義肢装具士などを組織し障害者にとって最善の道をさぐる.このなかでリハビリテーション医学以外の専門分野の医師の協力を得なければならないのは当然である.
リハビリテーションスタッフのチームワークは,評価会議などを通じて意志の疎通に不満はないが,この面からみて医師との関係に問題があると感じるのは私だけであろうか.医療は,患者との契約の上になりたつが,従来の一般臨床医学では“治療する”という医師が行う面がつよく,リハビリテーション医学では,障害者が行うという転換を患者は要求されるが,医師の側にも発想の転換が必要なことへの理解が乏しいのではあるまいか.
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