書評
笹沼澄子(東京都老人総合研究所リハビリテーション医学部長)他 編―失語症の記録―奪われた言葉・取り戻した言葉―
木村 彰男
1
1慶大月が瀬リハセンター
pp.804
発行日 1985年10月10日
Published Date 1985/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105471
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本書は,脳血管障害により失語症となった患者さん自身の手記を中心に構成されている.全体は三部より成り,第一部と第二部がそれぞれ二人のタイプの違う失語症の患者さんの手記で,第三部は編者らによる失語症の概説となっている.
第一部は,中等度のブローカ失語の患者さんの記録で,本人の記録と同時に妻の記録が併記されている.発病当初よりの十年以上にわたる闘病の記録であるが,失語症に対する訓練の過程は勿論のこと,その間のけいれん発作,バイパス手術などを経ての決して平坦ではなかった社会復帰への道のりが克明に描かれている.特に言語障害を持つ患者さんの職場復帰の厳しさを改めて感じさせられる.
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