書評
笹沼 澄子(東京都老人総合研究所室長) 物井 寿子(東京都養育病院リハビリテーション部)訳:失語症の評価―H. Goodglass, E. Kaplan: The Assessment of Aphasia and Related Disorders
大橋 博司
1
1京部大学
pp.303
発行日 1976年4月10日
Published Date 1976/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552103529
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第二次大戦ころまでは失語症研究の主流は欧州の英,独,仏語圏にあり,米国にはとくに認むべきものは少なかった.しかし1960年代からアメリカにおけるこの方面の進歩は瞠目すべきものがある.検査法にしても,それぞれに特徴のある試みが少なくないが,ややもすればこれまでの欧州諸国での伝統的な失語分類との結びつきが困難なものも少なくなかった.例えばSchull女史の注目すべき著作(本書も笹沼女史らの飜訳がある)などもその1例とされよう.
ところでGoodglassらの失語症分類はわりに「保守的」でほぼ古典論のそれに近い.ただ運動失語とか感覚失語などという呼び方はさけて,表出面の障害から流暢型(fluent type)と非流暢型(non-fluent type)に分けているのは言語学者Jakob-sonの失語症の二分法(selection disorderとcombination disorder)との類似性を感知せしめる.
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