Japanese
English
特集 整形外科治療における最近の進歩
頸部脊髄症
Cervical Myelopathy.
平林 洌
1
,
横井 正博
1
Kiyoshi Hirabayashi
1
,
Masahiro Yokoi
1
1慶応義塾大学医学部整形外科
1Department of Orthopedic Surgery, School of Medicine, Keio University.
キーワード:
頸髄症
,
手術的治療
,
保存的治療
Keyword:
頸髄症
,
手術的治療
,
保存的治療
pp.191-196
発行日 1985年3月10日
Published Date 1985/3/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105344
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いとぐち
頸(部脊)髄症(cervical meylopathy)といえば,頸椎・頸髄の異常によって生じ,外科的治療の対象となりうる頸髄症全般と理解される.したがって頸部椎間板ヘルニア,頸部(変形性)脊椎症,頸椎後縦靱帯骨化症のほかにも,頸椎・頸髄腫瘍,さらには上位頸椎奇形などによる頸髄の圧迫性疾患がすべて含まれる.
病態的にみれば,すべて何らかの原因によるspace occupying lesionであり,圧迫性脊髄症(compression myelopathy)に他ならない.したがってそれらの病態に対して現在,われわれ整形外科医のなしうるすべてとして,手術的治療と保存的治療とを問わず,従来から考え,行われてきた「除圧」と「固定」があるにすぎない.
ただair drill,手術用顕微鏡,Luque's instrumentation,halo装具などの手術,治療器具の進歩や,CT,選択的脊髄血管造影法,脊髄誘発電位検査などの診断技術の進歩によって,除圧と固定がより的確に,より徹底して行われるようになった結果,従来より良好な麻痺の回復と脊柱支持性の再建が可能となり,患者のADL上により大きな福音をもたらしつつあることは確かである.
そこで本稿では,まず治療成績に直結する診断法の進歩に触れ,ついで治療とくに手術法の進歩について述べ,さらに各疾患別にその治療の現況つき略述してみたい.
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