Japanese
English
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
いとぐち
脳性麻痺は中枢神経系の障害により運動麻痺を主徴とし,姿勢反射の異常から,その表現型である症状は多彩で,起立,歩行のバランスの崩れがとくに目立つ疾患である.しかし,極めて重度な心身障害を有するもの以外では起立,歩行への意欲は大きく,その目的達成へのために大きな努力を払っている姿を日常臨床の中でみることができる.また,異常なパターンであっても,その起立,歩行のバランス調整が極めて巧みに行われている様子もみることができる.
これら脳性麻痺患者の治療を担当していると,そのバランス獲得のための努力を最小限にし,その自立への道を容易にするような最大限の効果を挙げる事ができる治療の手段が切望される.neuro-developmentalなアプローチによる効果の限界をこえ,完成した型の脳性麻痺には一層必要なことがらでもある.われわれはその一助となるべく,整形外科的アプローチを主として治療を行っているが,患者の機能評価の面で比較的定量化が可能な重心図による検討を行ってきた.身体動揺を体重心位置の変動として投影面でとらえ,重心図として描出させて評価を行っている.また,最近ではPlantar Analyzerによる接地足蹠面積変動の解析を行っている.これらの方法により脳性麻痺の身体動揺の様相,接地面における足部の姿勢調節の様相を,ある程度知ることができるようになった.
今回は脳性麻痺の姿勢調節の様相を姿勢反射の面からではなく,それらの綜合されたものである体重心の変動をとらえたと考えられる重心図の解析を中心に,また接地足蹠面積の変動の解析という点から,足部での起立のバランスの微調節の様相などについて報告してみたい.
Copyright © 1985, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.