Japanese
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特集 心理的アプローチ
「意欲に欠ける」患者へのアプローチ
Approaches to the Unmotivated Patients.
本田 哲三
1
,
千野 直一
1
Tetsumi Honda
1
,
Naoichi Chino
1
1慶応義塾大学医学部リハビリテーション科
1Department of Rehabilitation Medicine, Keio University School of Medicine.
キーワード:
「意欲に欠ける」患者
,
心理的アプローチ
Keyword:
「意欲に欠ける」患者
,
心理的アプローチ
pp.769-773
発行日 1984年10月10日
Published Date 1984/10/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105260
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はじめに
リハビリテーション(以下,リハビリと略す)医療において,いわゆる「訓練意欲の低下」あるいは「motivationに欠ける」患者とはしばしば耳にする言葉である.しかし,その意味している概念は必ずしも明確ではなく実際の治療場面では対応に苦慮する事も少なくない.
われわれは,すでに昭和53年よりこのような一般のリハビリ訓練にのりにくい患者群(いわゆる「問題患者」)に着目し,慶応大学月が瀬リハビリセンター,国立療養所村山病院,慶応大学リハビリ科において心理,神経心理的観点をも含む包括的リハビリアプローチを模索してきた.
本稿では特にこの「意欲に欠ける」患者への治療的対応について,われわれの自験例を呈示しながら検討をくわえ,本特集に寄与したい.
なお,近年リハビリ心理における学習理論の隆盛にともない,“motivation”のとらえ方にも変化が認められ1,2),その過程自体も興味深いテーマであるが紙数の関係からさしあたり論及を控えることとする.また臨床的には心理的諸問題と並んで器質脳障害に起因する自発性の低下も重要な問題となるが,今回は前者を中心に論じたい.
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