視点
日本の国際保健戦略に欠けるもの―世界の視点から
古知 新
1
1元WHO本部結核・エイズ・マラリア対策部
pp.906-907
発行日 2011年12月15日
Published Date 2011/12/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401102287
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「国際保健」への関心が過去10~15年の間,日本の中で大いに高まっている.たとえば,日本政府による「国際保健」に対する拠出額は,この間途方もなく増加してきている.主に世界エイズ・結核・マラリア対策基金(Global Fund to Fight AIDS, Tuberculosis and Malaria;以下GFATM)に対するものである.教育研究分野においても,「国際保健」の学部が国内の主要大学に新設されてきている.社会においても「国際保健」に関係するNGOの数が増加している.また,「国際保健」に関する政府の政策ならびに拠出金に影響を及ぼすことを目的としたロビー活動や,メディアキャンペーン等を通じたアドボカシーおよび支援金調達のための活動を主としたNGO(日本リザルツ)もできている.このような団体は日本で初めてのものである.国際保健に対する関心の高まりは,世界的な流れである.
しかし,わが国の国際保健に対して,2つの深刻な疑問がある.
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