Coffee Break
欠けたふくろうのクリスタル
屋形 稔
1
1東新潟病院
pp.265
発行日 1992年3月15日
Published Date 1992/3/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542901006
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1990年3月に私が定年退官してしばらくしてから,緒方研の北村元仕先生から小包が届いた.開くと綺麗に光るクリスタル細工の小さいふくろうが入っており,幸福のふくろうですので机辺に置いて下さいとあった.目が金色に輝き持ち主を見守るかのようであった.あとで私が冗談半分に「怠けていると先生から見張られている気がして,どうも落ち着きません」というと,「お互い年ですからあまり気張らずに幸福になりましょう」とまじめな顔でおっしゃった.
しかし,こと臨床検査になると北村さんはあいかわらず少しも手を抜く気になれないようであった.1991年秋の臨床化学会年会の前にも,一緒に監事をしていたので東京のホテルの一室で会計担当の大久保昭行理事と3人で監査の仕事をした.ひととおり済んで散会しようとすると,これから本当の監査をしましょうとおっしゃる.つまり一緒に努力した新しい会則に基づいて発足した臨床化学会が正しい歩みをしているか否かをいちいちチェックしなければということで,いつもの鋭い分析を始められた.
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