巻頭言
リハビリテーションは五重の塔!
田島 規子
1
1北里大学医学部整形外科
pp.587
発行日 1984年8月10日
Published Date 1984/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105216
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最近は普遍的に福祉行政,社会復帰などのいわゆるリハビリテーションに関する言葉が使われ,当方が医師とわかると何かしらリハビリテーション関係の質問をされる.諸先生が同じ経験をされていると思うがこれをして素直に「リハビリテーションの隆盛」と受け止めておられるのであろうか? 市井に言う福祉に「まやかしの気配」を感じ我々も含めて社会の中でリハビリテーションが云々されるとき「個人的拒絶反応」が胸中に湧くのは私だけであろうか?
もし本当に人間平等の福祉というなら次のことなどどう考えたらいいのであろう.例えば国民保険や社会保険で装具を作る場合は,まず装具を作る,でき上ったら患者は医師の装具装備の証明書と業者に立替払いをしてその領収書を保険係に提出すれば数カ月内に自己負担金を差し引いて支払われる.これがなぜ,薬品と同様の取扱いにできないのか,行政の仕組に弱い私にはとんと理解できないが,まったく不思議なのが身体障害者手帳(肢体不自由)の場合である.装具を作るとき「第9号様式・補装具交付(修理)意見書」を患者かその家族にまず取りに行ってもらわなければならない.次いで医師がその用紙に記入して再び係りまで提出に行くという手順で手続を行うが,更に不可能なのは装具作製を拒否される時である.少なくとも当方は病院と装具やリハを担当の医師(モグリではない!)が印を押して,処方した装具を記入して出すのに「誰がどのような理由で拒否する」のか明示せず窓口の事務取扱者の患者への口頭で拒否されるのは何度経験しても私は慣れることができない.
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