巻頭言
リハビリテーション医学における心臓リハビリテーション
後藤 葉一
1,2,3
1公立八鹿病院
2日本心臓リハビリテーション学会
3日本リハビリテーション医学会
pp.810
発行日 2018年10月18日
Published Date 2018/10/18
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- 文献概要
心臓リハビリテーションはリハビリテーション医学全般の中で特異な立場を占める.その理由の第1は,歴史的経緯としてリハビリテーション科医ではなく循環器内科医により創始され,現在も主として循環器内科医により担われている点である.理由の第2は,心臓リハビリテーションはその目的として,身体的・心理的・社会的状態の回復に加えて,動脈硬化の進行抑制および罹病率・死亡率の低下,すなわち長期予後改善をめざす点である.そして第3の理由は,運動療法だけでなく食事・禁煙指導を含む患者教育・生活指導・カウンセリングなどの包括的介入が多職種チームで実施される点である.
これまでの研究の結果,虚血性心疾患や慢性心不全患者に対する運動療法が血管内皮機能改善・抗動脈硬化・抗炎症・自律神経機能改善などの多面的効果を有し,心疾患患者が心臓リハビリテーションに参加することにより運動耐容能のみならずQOLや長期予後が改善することが証明され,エビデンスとして確立されている.すなわち,心臓リハビリテーションは「多面的生物学的効果(pleiotropic biological effects)を有する心血管治療法」と認識されている.さらに近年では,多職種チームによる包括的外来心臓リハビリテーションが,慢性心不全・心房細動・糖尿病・慢性腎臓病・フレイルなどの慢性多疾患保有高齢患者のQOL向上と再入院防止をめざす「疾病管理プログラム(disease management program)」として注目されている.
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