書評
―W.マルクワルト著 加倉井周一(東京都補装具研究所)訳―靴型装具のすべて 理論と実際
澤村 誠志
1
1兵庫県リハビリテーションセンター
pp.281
発行日 1984年4月10日
Published Date 1984/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105146
- フリーアクセス
- 文献概要
- 1ページ目
欧米の整形外科のworkshopを訪れる度に,おびただしい靴の木型の存在に目をみはった方は,きわめて多いはずである.数年前に西独Getingenの靴製作業者で採型より製作までの過程をみ,この9月にオスローの義肢装具学校の靴型装具のコースを訪れた.いずれも19世紀後半より長年の歴史に支えられた靴型装具の処方の深さ,西独でのOrthopadie-Schuhmachermeisterの定期的刊行,さらにその職業としての専門性とプライドに改めて驚くと同時に,わが国でのこの分野での遅れを痛感してきた.
日本でのこの靴型装具の分野でおくれをとった原因は,室内で靴をはかぬ生活習慣,整形外科医の無関心さ,整形外科靴の厚生省基準価格が著しく低価格に押さえられてきたなどであろう.しかし,何よりもこの靴型装具に関する本格的なテキストと呼ばれるものが皆無に近かったためであろう.この意味で,今回本書が加倉井博士により紹介されることになった意義はきわめて大きいと思われる.
Copyright © 1984, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.