書評
―Ludwig Guttmann著 市川宣恭監訳―身体障害者のスポーツ
武智 秀夫
1
1岡山大学整形外科
pp.974
発行日 1983年12月10日
Published Date 1983/12/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552105080
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本書の著者のGuttmann卿は,私の伝え聞いているところでは,もともと神経外科医でBreslau(現在のWrocaw)でFoersterの助教授をしており,第2次大戦の勃発とともに,Hitlerに追われ英国に亡命した人であるという.そして英国で大戦による脊髄損傷を多く治療し,一つの体系を作りあげStoke Mandeville病院は脊損治療のメッカといわれるまでなった.同時にまたGuttmann卿は脊髄損傷の治療体系に早くからスポーツをとり入れ,その効果が著しいところから1984年からStoke Mandeville競技大会が毎年開催された.これが発展したのがパラリンピックである.
以上のような経緯を知って本書を読むと,第4章「脊髄性対麻痺者と四肢麻痺者の車椅子スポーツ」と第5章「麻痺障害者の各スポーツにおける競技技術の習得」の2つの章が他の章よりも大変詳細に記述してあるのがよく理解できると思う.すなわち脊髄麻痺に対してのスポーツのやり方は完成されたものと考えてよい.
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