Japanese
English
講座 CT(6)
腹部CT検査の進め方
Procedure of Abdominal CT.
吉川 宏起
1
Koki Yoshikawa
1
1東京大学医学部放射線科
1Department of Radiology, Faculty of Medicine, Tokyo University.
キーワード:
腹部
,
CT診断
Keyword:
腹部
,
CT診断
pp.477-483
発行日 1983年6月10日
Published Date 1983/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104972
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はじめに
胸部でも同様であるが,頭部と異なる腹部の有する解剖学的特質として2点を挙げることができる.1つは臓器に呼吸性(心臓や大動脈周囲では拍動性)移動があることで,このため胸,腹部へのコンピュータ断層撮影(Computed Tomography,CT)の応用は頭部に比し数年遅れた.すなわち読影に値する画像を撮影するには呼吸停止が可能な走査時間の短縮した機器(一部の第2世代,第3,4世代装置)の開発を待たねばならなかったからである.この臓器の呼吸性移動のため,小病変が一定間隔の連続スライス面で捉えられない可能性が残され,またCTで同一スライス面を正確に再現することは困難である.
他の1つの特質は腹腔には実質性臓器の他に,管腔性臓器が含まれていることである.このため肝や腎,脾などの比較的大きな実質性臓器では問題となることは少ないが,消化管と膵や腫大したリンパ節あるいは腫瘍との鑑別はCTを読影する際しばしば問題となる.骨盤腔では消化管の他に膀胱を中心とした尿路系,さらに女性では生殖器系と腫瘍あるいは腫大したリンパ節との鑑別が困難である.このため水溶性ヨード血管造影剤の他に様様な造影剤が必要とされる.
本稿では実際に腹部のCT検査を進めていく順序,すなわち造影前CTで得られる情報とその限界,造影後CTの必要性について症例を供覧しながら述べていくことにする.
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