巻頭言
日常生活動作と反応能力
祖父江 逸郎
1
1名古屋大学医学部第一内科
pp.417
発行日 1983年6月10日
Published Date 1983/6/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552104962
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膝反射は日常臨床で最もよく使われる反射の一つで,医師は勿論のこと,一般の人にもよく知られている.膝蓋腱を叩打すると下腿が伸展する反射で,単ジナップス反射の代表的なものである.このような単ジナップス反射に対して,刺激と効果器との関係から多ジナップス反射を構成するものもあり,その反射経路には種々なものが考えられ,反射路のループも短いものから,極めて長いものまで様々である.このような反射機構は四肢,躯幹のみならず,顔,頸をはじめ,身体のいたるところにみられ,極めて複雑,多彩であるが,内臓諸臓器にも同様な形で種々の反射が形成されており,より一層複雑になっている.
身体の機能には様々のものがあるが,これらの機能は身体に縦横に存在する多種多様な反射機構により維持されているといえる.したがって,何らかの形で刺激をinputすると,これらの連鎖する反射が自動的に作動しoutputを打ち出すこおとになる.こうした機能は,幼児からの長い間の生活体験の中で作り上げられるもので,ヒトに共通な多くの反射経路が自然に培われているのである.そして,inputされたものが正しく作動し,outputするわけであるが,場合によっては,何らかの条件により影響され,必ずしも同じように反応しないこともある.反応時間についても,それぞれの反応に対してある程度一定に設定されているものであるが,何らかの障害があると,これが必ずしも一定でなくなる.
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