進行性筋ジストロフィー症とDuchenne型（217例）ADLとStageの推移

Progressive Muscular Dystrophy 217 Cases. Change of ADL, and Stage.

はじめに

　進行性筋ジストロフィー症（Progressive muscular dystrophy以下PMDと略す）は，1884年¹⁾Wilhelm Erbによって単一疾患として命名されて以来，遺伝学，病理学，生化学，臨床医学，リハビリテーション等の見地から病因の探求と治療法に多大な努力が払われている難病疾患である．

　PMDの有病率はHouston²⁾によれば人口10万に4人という．またWalton & Nattrass³⁾のPMD病型分類・比率によれば，Duchenne型80％，肢帯型15％，顔面肩甲上腕型3％と述べている．PMDの多くを占めるDuchenne型は悲観的な予後を辿ると多くの諸家が述べている．

　Rusk⁴⁾はリハビリテーションの観点から，常にその時点のADLを最大の効率と機能保持に務めることが重要であると述べている．

　従ってPMDの経過時におけるADL能力の推移を知ることは重要である．すでにADLに関する報告はBecker-Sjovall⁵⁾，Price⁵⁾，Walton³⁾，Dubowitz⁶⁾，小林⁷⁾，清原⁸⁾等の数多く見られる．我々も昭和41年より昭和56年の15年間にPMD，Duchenne型217例の運動動作能力の経過を追跡する機会を得たので，その結果と多少の考察と加え報告する．