脳卒中患者の下肢機能回復についての検討―CT-scan，WAIS（P.IQ）との関連

Relationship of CT-scan findings and WAIS (Performance IQ) Scores as Effectiveness and Prognosis of Hemiplegic Gait Stroke Patients.

はじめに

　脳卒中による片麻痺に対してリハビリテーション（以下リハと略す）を施行するにあたり，どの程度麻痺が回復しうるか，いわゆるその患者の下肢機能の回復の予測を検討することは，リハの予後を知る上で重要なことである．著者らは，脳のコンピューター断層撮影（以下CTと略す）の所見の分析から，下肢機能回復の予知を試み^1，2)，傍側脳室体部にＸ線低吸収域がみられる症例は，下肢機能の回復が悪いことを報告し，これは傍側脳室体部の障害はcortico-spinal-fiberを直接障害するためではないかと推論した．

　一方，患者の神経心理学的異常も，下肢機能回復に少なからぬ影響を与え得ると推察される^1，3，4)．そこで今回は，CT所見と，神経心理の検査のうちWAIS（Wechsler Adult Intelligence Scale）のPerformance IQ（以下P.IQと略す）を指標として，下肢機能の予測を検討したので報告する．